

目のピント調節は、遠くを見るときには交感神経系が毛様体筋を弛緩させることで、近くを見るときには副交感神経系が毛様体筋を収縮させることで行っています。これらの神経は呼吸や消化、体温調節などを司っていて、自分の意思とは関係なく働く神経です。体内においては、一般的に、精神的に興奮した時や運動時には交感神経系の活動が強まり、休息時や睡眠時には副交感神経系の活動が強まることが分かっています。
かつて、ヒトは狩りで獲物を探すなど、仕事をしているときは遠くを見ている時間が大半でした。狩りのような仕事では、ピント調節のために強まっている神経系と、獲物を捕らえるために体を興奮させている神経系は、ともに交感神経系で一致していました。
ところが、近代以降の日本では、パソコン作業やデスクワークに代表されるような、近くを見ながら作業を行う仕事が増えています。このとき、目のピント調節では副交感神経系が強まる必要がありますが、仕事に集中する必要もあり、体の方は交感神経系が強まっています。この矛盾した状態が長時間続くと、交感神経系、副交感神経系のバランスが崩れ、目の疲れから全身的な疲労へと発展してくることがあります。
ただ、パソコン作業やデスクワークが仕事の場合、近くを見ないと仕事にならないという人もおられるでしょう。そんな方には、凸レンズ(読書用メガネ)の装用をお薦めします。凸レンズでアシストして、交感神経が働いている状態でも近くが見られるようにすると、近くを見るのが楽になることが多いです。また、ピント調節をアシストする効果を持つ成分(メチル硫酸ネオスチグミンなど)を含んだ目薬もあります。近方作業がつらいと感じたら、こういった目薬を使ってみるのも良いかもしれません。